ダバオでも人気の浮世絵と、見直される春画

2020年、偽造防止対策強化のため、日本のパスポートが新しいデザインに変更になりました。
その査証ページの新デザインに採用されたのは、浮世絵師、葛飾北斎代表作である「冨嶽三十六景」です。

江戸時代に成立し、日本を代表する伝統芸術の一つ『浮世絵』は、日本だけではなく海外でも愛され、19世紀後半に「ジャポニスム」ブームとなり、ヨーロッパの芸術家に多大な影響を与えてきました。
フィリピンでも浮世絵は、漫画と同じくらい慣れ親しまれているそうです。
ちょうど良いタイミングで、ミンダナオタイムスが日本の浮世絵とその一種である春画についての記事を伝えてくれたので、ご紹介します。

葛飾北斎の最も有名な浮世絵木版画「神奈川沖浪裏」


ミンダナオの若者に人気の浮世絵Tシャツ

フィリピンの人々も、日本の漫画(19世紀後半に日本で開発されたスタイルに従った日本の漫画またはグラフィックノベル)と同じように、日本の浮世絵に慣れ親しんでいます。
SMラナン・プレミアやSMシティ・ダバオにあるユニクロの人気店に立ち寄ると、江戸時代(1760年〜1849年)の浮世絵師五人が手がけた日本の木版画を魅力的にセレクトしたユニクロTシャツが、ファッション好きのミンダナオの若者の間でかなり売れています。
ユニクロは、アメリカ・ボストン美術館の所蔵品の中からこれらの浮世絵を選びました。

ユニクロTシャツ、世界的に人気の浮世絵プリントコレクション

フィリピンの国民的英雄にも影響を与えた

日本独特の浮世絵版画は、ヴィンセント・ファン・ゴッホやクロード・モネなどヨーロッパの芸術家や重要な美術コレクターの間で人気を博し、西洋の視覚文化にも大きな影響を与えました。
世界的に最も有名な浮世絵師は、「神奈川沖浪裏」と「富嶽三十六景」で知られる葛飾北斎でした。

ニュースによると、私たちの国民的ヒーローであるホセ・リサールの描いた猿とカメの絵でさえ、日本の浮世絵から発想を得たそうです。覚えているでしょうか、リサールは日本を訪れ、日本の侍の娘である「おせいさん」こと臼井勢似子という名前の日本人の翻訳家の恋人がいたということを。

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江戸時代の庶民に愛された大衆文化

浮世絵は17世紀から19世紀にかけて一世を風靡した日本美術の一分野です。
それは、以下のような日常生活の題材が描かれています。美しい日本女性や遊女・芸者、歌舞伎役者・将軍・相撲力士・僧侶、歴史や民話のイラスト、旅の景色や風景、動植物、そしてそう、エロティカです。

江戸時代の浮世絵では、将軍の天下泰平の世において、快楽的な性風俗(覚えておいてください、日本人は、明治時代の西洋化の過程以前は、カトリック教徒やイスラム教徒のように性に対して保守的な考えを持っていませんでした)が平穏な生活の中で奨励されたときの都市の遊興の場が描かれている。
これが民衆の大衆娯楽としての春画の流布につながりました。春画は経験の浅い青年男女の性のセックスガイドとして使用されたとも記されています。

マイケル・E・ダクダオに贈られた春画の見本

近年、世界的に大きな注目を集める春画

実際に2019年の12月に春画を何枚か手に入れたときは本当に驚きました。ほとんどの春画は本版画形式の浮世絵の一種です。
それはインドのカーマ・スートラのセクシュアリティ、エロティシズム、人生の充足感を描いたイラストのようなものに似ています。

春画は「春の絵」を意味するエロティックアートを意味する日本語の言葉で、「春」は日本人の間では性に対する婉曲表現として一般的に使われています。
日本では春画はエロティックでわいせつと見なされており、「江戸ポルノ」と呼ばれています。
ヘルシンキ、ミラノ、バルセロナ、イギリスの外国の美術館で大規模な展覧会が開かれ、大成功を収めたにもかかわらず、日本の美術館は論争を恐れ、しばしば春画の展示を拒否することが知られています。
時代は変わり、アジアの保守的な国々と比べて、今や欧米の方が自由に発言できるようになったのです。

日本では春画はタブー視も

今日の日本での春画展はタブーと論争の的になっているにもかかわらず、春画は、性に対する考え方がより自由で「道徳的に保守的な西洋」 の文明的なやり方に束縛されていなかった時代の日本の歴史の遺物です。
これらの日本のエロティックな木版画は「これまでに生み出された中で最も露骨で鮮やかな快楽の絵」と称賛されています。
春画である芸術を見るときは、清教徒としての心構えは捨てて、心を開いて見てください。
もちろん、芸術のために、イラストを見て笑っても構いません。

春画はもっと評価されるべきです。

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