牛がいるダバオのドライビングレンジ

ダバオのゴルフ練習場、ドライビングレンジに行ってきた。いわゆる「打ちっ放し」である。
もうすぐ夕方にさしかかろうというのに、気温は30度を超えている。
たぶん。

 

暑い…
このところ日本の夏は狂っていて、真夏ともなると40度近い日が何日も続くことも珍しくない。
それに比べれば30度そこそこなんて知れてるだろ、と言われそうだが、日本の夏に慣れた身でありながら、なぜか暑い…
そんなときはエアコンの効いた部屋でビールでも飲んでまったりするに限る。

 

なのに、来てしまった。
ぜんぜん打つ気になれない。

 

前に紹介したラブホ「Oh George!」を西へ、ダバオリバーを渡った川沿いにあるのが行きつけのドライビングレンジ Bridge View Golf Driving Range。
ダバオにいくつくらい打ちっ放しがあるのかわからないが、ここしか知らない。

”バカ”がへたくそをバカにする

ここはいつ行っても混んでいたことがない。
単にツイてただけなのかもしれないが、実にまったりアナログな時間を過ごすことができて気に入っている。
なにしろ、目の前のフィールドでは牛が草を食(は)んでいるのである。
ネットまでの距離は200ヤード程度。
奥には背の高いブッシュと木が立ち並び、その手前の草むらに牛が何頭か草をはんだり、寝転んだりしているのだから驚く。
それにしても牛って、いるだけでのどかな景色になる。
ちなみにビサヤでは牛のことを「バカ(baka)」と言う。

 

「あー、今日もバカが草くってるなぁ」と、ベンチに座って眺めるのがまたいい。

 

このまま打っても大丈夫なんだろうか?
当たらないんだろうか?
と心配になってしまうが、現地の人は「気にしなくていいよ」と軽く流す。

 

気にしなくてもいいっていうのは、当たりそうで当たらないってことだと思い、逆に狙って打ってみることにした。
ゴルフを始めたばかりの頃、ラウンド中、何度もバンカーに入れてしまってボロボロになっていたとき、先輩ゴルファーが、
「バンカーなんて、狙って入れようと思っても入らないんだから、入れたくないなら逆に狙って打ってみるといいよ」とアドバイスをくれたことがある。
なるほどと、言われた通り狙って打ったところ、確かにその日はそれ以降まったく入らなかった。

 

結局心配するにはおよばす、牛にはカスリもしなかった。
牛の方も舐めたもので、当てれるもんなら当てていいよとでも言いたそうに、気だるくしっぽを振りながらまったりしていて、気にもとめていない。

 

後で聞いた話だが、仮にボールが当たったところで、牛には大したことじゃないらしい。
「気にしなくていいよ」とはそういうことだったのかもしれない。

 

すべてアナログだけど快適

このドライビングレンジには、スイングチェッカーやら、スカイトレックといったシミュレータはおろか、日本では当たり前のような一球打つたびにボールが自動的にセッティングされるような設備すらない。
そのかわり、日本とは違った快適さがある。
カンタンに言えば、すべてアナログながら実に手厚いサービスが受けられるのである。

 

まず、好きなレンジを選んでベンチに腰を下ろすと、スタッフ(たいてい女の子)がやってきて、氷入のおしぼりを渡してくれる。冷えたお絞りじゃなくて氷のせいでおしぼりまで凍ってるからバリバリになっているが、そのまま首筋にあてるとこれがなかなか気持ちいい。
「何か飲む?」
ホントは、「何かお飲み物をお持ちしましょうか?」って言ってるのかも知れないが、ビサヤがさっぱりなので、そんな感じに聞こえる。
飲み物に限らず簡単な食事もオーダーできるから、ビールにチキンやピザを食べながら、牛と格闘することだって可能だ。

 

ボールが自動的にセッティングされるような設備はないが、女の子がその代わりをしてくれるサービスがある。ゴルファーの隣にずっとひざまずいて座り、一球打つたびに、次の球を手で置いてくれるのくれるのである。
特にオプショナル料金というものはなく、終わったら直接50〜100ペソくらいのチップを渡せばいい。
「もう少し右に置いて」とか、「ティーアップして」とか細かい注文もオッケーなので、へたな機械よりずっと融通が効くし会話も楽しめる。

練習場とは違うくつろぎの場所

思うに、ここにはホントに大した設備はないが、日本ではまったく経験できない快適さがある。
それは環境かもしれないし、ある意味でのホスピタリティかもしれないし、フィリピン特有のゆるさに由来するものなのかもしれない。
ゴルフにどっぷりハマっているわけではないので見当違いかもしれないが、ここは単に「ゴルフ練習場」という位置づけの場所ではない気がする。
しつこいけど、もう一度バカ登場

 

牛を眺めながらビールを飲み、友だちとバカ話をする。
暮れてゆく遠くの空と、ぽっかり浮かぶ雲をぼんやり追う。
気が向いたらボールを打つ。
遠くから聞こえてくるクルマの音や人の声も、なにもかもが気持ちいい。
現実感のないひとときっていうものを味わうには、最適な場所なんじゃないかな。

 

ぼーっと、のんびりしたくなったら、ぜひバカを眺めに行ってみてください。
ただし、暑いですよ。
すごく。

 

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